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毎日を編むブログ

かごについて調べ、考え、編んでいます。

映画「東京物語」の紀子さんの家にもかごバッグがありました。

小津安二郎監督の名作映画、「東京物語」のデジタルリマスター版を見ました。

1953年の公開なのですね。

生まれる前の映画ですが

若いころ、この雰囲気に憧れて再映かビデオかで見た覚えがあります。

淡々とした物語を、なんともいえないカメラワークで撮ってあります。

室内が多いですが絵のようというか写真のようというか、

そのワンカットワンカットが細部まで行き届いた美を感じられて

全てのシーンをスクリーンショットにおさめたいような気さえいたします。

この時代の建物の感じや内装、

置かれている生活用品などもすごく気になります。

明らかに画面の隅々まで心を配られていて美しいのですが

美しさだけが一人歩きしているわけではないというか

なんというかこれが小津調ということでしょうか。 

登場人物たちのドラマとも言えないようなドラマの

人間とはそういうもんだ、仕方がない、と思うような部分を

昔の私はどう思ったのでしょうか。

・・・覚えていません。

 

さて、東京物語にはお買い物のシーンとかは無いので

買い物かごが出てくる感じではないだろうなと思っていたのですが

原節子さん演じる紀子さんのアパートの壁に

かごバッグが掛けてありました。

 

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松竹株式会社 東京物語 ニューデジタルリマスターより

 

紀子さんは結婚して間もなく

旦那様を戦争で亡くされたらしく

都会のオフィスで働きながら

下町のコンクリート造の小さいアパートで一人暮らしです。

旦那様のご両親に当たるのが笠智衆さんたちです。

 

薄い木製のドアを入るとすぐに

簡単な家具と小さいちゃぶ台しかない居間、

寝るのはちゃぶ台を片付けて、というような小さい部屋です。

水回りは共同なのかな。

戦後8年というとすぐな気もするけど

それでももう慎ましいけれど十分にキチンとした、

言ってみればミニマルな暮らしぶり。

例のごとく固定カメラなので

ドアの見える方向と、窓の見える方向しか見ることができないけれど、

おそらく六畳一間とか、いや、四畳半一間かな。

押入れもきっと少なくて、

上の方の板一枚の棚に箱に入った物が積み上げられているのは

とても時代を感じます。

小さ目で今の家具に比べると薄目に思える水屋(食器棚)は

欲しいなあと思うものの一つです。

柄の入ったガラスが嵌まっていたり、作りが細やかです。

高級品でなくても、昔のものはこんな感じだったのですよね。

こまごましたものはその水屋の上に置いたりしてあって、

ドアのすぐ横の壁には傘とバッグがかけてあります。

 

いわゆる籐や柳の買い物かごではないですね。

もう少し柔らかい素材のように見えます。

草系というか、イグサのバッグが今もありますけどそれに似ている気がします。

マチ薄めのトートバッグ風の形。

モノクロなので色はわからないけれど

ツートーンカラーで上下を編み分けて上端部にも縁取りがしてあります。

今風と言ってもおかしくありません。

洗練された女らしいお洒落をしている紀子さんなので

割烹着を着たお母さんに似合うような籐の買い物かごではなく

もう少しお洒落なもの、いうことなのかも知れません。

 

出てくる女の人がみんな

気品のある白いブラウスにウエストからフワッと広がる長めのスカートで、

家事の時はウエストで結ぶ短いエプロンをしています。

今ではすっかり無くなった女らしい習慣だと思います。

 

子供を叱るときもダメよとか言わないでしょうがないわねえと言ってみたり、

今では割と多くの人がすみませんと言って済ませてしまう場面でも

あいにく、という言葉を使ったり。

かごとはすっかり関係ないですが

少し前の日本のスッキリした良さを思ったのでした。