毎日を編むブログ

かごについて調べ、考え、編んでいます。

絵画の中のかご⑥ローマのフレスコ画、モザイク画。

絵画の中のかご、6回目です。

今までは額縁に入れて壁にかけるような絵についてでしたが・・

絵の歴史の中ではもっとずっと古い、モザイク画、フレスコ画など壁画の中にもかごが描かれたものがあるようなので調べてみました。

 

ローマのポンペイの遺跡といえば西暦79年のベスビオ火山の噴火で一瞬にして町ごと埋まってしまったところです。

1900年前後から次第に発見、発掘が進みました。

フレスコ画が建物の内部を豪奢に埋め尽くすような身分の高い人物の住居も見つかっているようで、当時の人々の暮らしを映すような絵の中にはやはり、かごも描かれているようです。

 

皇帝ネロの妻ポッパエアという方のヴィラ。

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壁一面のフレスコ画の中には、フルーツが山盛りに盛られたかごの絵が。

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ポンペイ、ヘルクラネウム及びトッレ・アンヌンツィアータの遺跡地域 - Wikipedia

イチジクでしょうか。

かごは黄金色に輝いているように見えますね。

そしてなんとも繊細な編み目です。

もっと後のヨーロッパの籐のかごのようです。

このよく揃った編み目の感じは、蔓そのままではなく皮を挽いて均質にされた材料で編まれているように私には見えるんですけどどうなんでしょうね。

いずれにしても、西暦79年の噴火で埋まったのですから、西暦が始まる頃にはすでに今と同様のかご編み技術があったということですよね。

 

いや、同様というのはおこがましいのかも。

容器という容器は全て手作りしていたわけだから、現代人より全然器用な人達が、研鑽と修練を積み重ねてかご文化を発達させていて、すごいものを作り上げていたという方が正解かも知れません。

 

こちらもポンペイのフレスコ画。(ナポリ国立考古学博物館蔵。)

婚礼の様子が描かれた絵です。

半人半獣のケンタウルスが贈り物としてフルーツが盛られたバスケットを携えています。

ジェーン・バーキンバスケットの原型、なのでは。

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http://ancientrome.ru/art/artworken/img.htm?id=6386

 

美しい後姿のこちらの絵も、ポンペイのフレスコ画(ナポリ国立考古学博物館蔵)、「花を摘むフローラ」だそうです。

花の精ですね。

スラッとしていて優しい感じで、美しい女性のイメージは昔から全く変わってないみたいです。

花かごを持つ若い女性の姿が可憐なものの代表だったのも昔からなのでしょう。

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Flora (affresco) - Wikipedia

 

こちらはローマ国立博物館、マッシモ宮に展示されているモザイク画。

どこかの豪邸の「床」を装飾していたらしい、上のフレスコ画と同じくらいの時代のものです。

葉っぱ付きの各種フルーツ盛り合わせ、足付きバスケットと来たらやはりカラバッジオの果物籠を思い出します。

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File:0 Mosaico pavimentale – Grotte Celloni – Pal. Massimo.JPG - Wikipedia 

これは少し時代が後になりますが2世紀頃のハドリアヌス帝のヴィラにあったという花かごのモザイク画です。

今はこのようにバチカン美術館の床に展示されています。

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http://stalic.livejournal.com/601285.html

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mosaic | Britannica.com

とても細かいモザイクで、花の陰影までも見事に表現されています。

かごは斜めの網代編み。

フラワーアレンジメントの最も早い表現だと評する向きもあるようです。

これ、オランダ絵画の黄金時代の静物画そのものと言ってもいいくらいですね。

この花かごの絵画を見つけた時、ずいぶん昔の絵なんだなと思いましたが、モチーフとしてはそれより1500年前にはすでにあったのですね。 

花や果物を入れたかごを絵にすることは、それがお供えみたいなものだったとしても装飾用だったとしても芸術表現だったとしても、とても自然なことなのだと思います。

 

自然過ぎて当たり前過ぎて、絵としてはあまり驚くところもないくらいですが、驚いてしまうのはかごというものの変わらなさですね。

絵の技法とか背景がなければ、本当にいつの時代かわからない。

これは暮らしの中にある「物」としては、結構珍しいことなのではないかと思います。

 

人間の暮らしの傍らにいつもあったかごというもの。

作り方がわかれば誰にでも作れて、気軽に使えて、工夫しだいでいろいろに変化させられるけれど一部の例外を除いたらある程度以上の洗練は求められない、簡素なもの。

紀元前の人も中世の人も今の私たちも同じようなものを持てるということがすごいことだし、昔からあるから親しみを感じたり、忘れかけていた人にとっては懐かしかったりするものなのでしょうね。