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毎日を編むブログ

かごについて調べ、考え、編んでいます。

「魚籃観音」、バスケットを持った観音様。

「魚籃(ぎょらん)」、というのは

「魚籠(びく)」と似た意味の言葉で

漁業につかうかご、魚を入れるかごのことです。

 

そんなかごの名前がついた

「魚籃観音」という観音様がいることを

最近知りました。

その名のとおりかごを持って立っていらっしゃるのです。

 

結構日本中にあるみたいなんですが

今、たぶん世の中的にいちばん知られているのは

こちらじゃないかと思います。

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Kannon Bodhisattva (Bosatsu) -  Japanese Buddhism Art History

小田原にある東善院の厄除け魚籃観音です。

高台の上に立つ真っ白で巨大な姿は

新幹線や東海道線の車窓からも見えるそうです。

各地で見かける、わりと新しめの巨大観音像に

雰囲気は似ていますが

バスケットを持ってることに気づくと

あれっ!と思いますよね。

よく見ると尾びれ出ていますし。

 

なぜバスケットを持っているのか。

 

魚籃観音とは仏法を広めるために現れた、

魚を商う美女に化身した観音様なのだそうです。

あまねく衆生を救済するために

観音様が臨機応変に33の姿に変身するという、

三十三観音説のうちの一つの姿です。

 

それゆえ魚籃、魚籠を持っている。

もしくは魚の背に乗っている。

大漁や海上安全を祈念したり

魚介類に感謝し供養するための観音像なのです。

 

 

調べてみますと

こんな仏像らしい仏像という感じの

魚籃観音もありますし(滋賀県 鶏足寺)

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その伍 鶏足寺(木之本) 観音包む豊かな自然 : 地域 : 読売新聞

 

謎のポーズの像もありますし(長野県 正永寺)

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http://www.shoeiji.jp/

 

お地蔵さん風のものや (新宿区 蓮乗院)

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道祖神風(?)のものも。(文京区 護国寺)

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西郊民俗談話会

(↑こちらのホームページでかなり詳しい考察が読めます。)

 

ずいぶん様々な姿です。

仏像に詳しくないので素人感覚ですけど

女性らしい姿で魚籃さえ持っていれば

大丈夫な感じ。

 

魚籃観音にまつわるお話が

なんとなく艶っぽく親しみを感じるものだから

人々に広く受け入れられやすく、

よく知られたお話に合わせて

様々な様式で像が作られたんじゃないでしょうか。

 

美女の話が仏像になるとおばちゃんぽく落ち着いてしまうのも

なんとなく親しめる。

高名な仏師作の美術史に名を刻むような仏像とは対照的に

民間伝承的に広まって民間信仰的に

身近な感じで愛されてきたのではないかな、と思います。

 

バスケットを持っている姿というのが

わかりやすくてやっぱり可愛い。 

三十三観音が仏画など以外で

単独の仏像になるのは稀なことだそうなので

こうやって魚籃観音が作られてきたのは

人の口の端に上りやすいエピソードと

バスケットを持ったお姿があったからだと思います。

 

 

 

調べる過程で「まんが日本昔ばなし」にも

魚籃観音のお話があることがわかりました。

まんが日本昔ばなし〜データベース〜 - 魚籃の観音

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漁師の男が流れついた魚籃観音像を拾うお話なので

この昔話が話されていた時点ですでに

その存在がよく知られていたのでしょうね。

 

 

 

お買い求めにもなれます。

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香萱 魚籃観音 / 龍祥

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高村光雲『魚籃観音』【アート静美洞】

 

 

 

ところで

私が魚籃観音について知ったのは

「北斎漫画」の中のこの絵を見たからでした。

見開き2ページにまたがる縦位置の絵。

葛飾北斎「魚濫観世音(ぎょらんかんぜおん)」です。 

魚濫って魚籃だろうか、と引っ掛かったわけです。

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teachartwiki - Gyoran Kannon- Katsushika Hokusai

「魚籃」の籃はかごという意味ですが

この絵のタイトルの「濫」は

竹かんむりが無くてさんずいが付いています。

水の「氾濫」の濫ですね。

 

調べてみたら

実際は「かご」の意味の「魚籃」観音というものが

あることがわかったわけですが・・

 

北斎の絵のタイトルは敢えて字を変えたのでしょうか。

それともそういう言い方もあったのでしょうか。

 

かごを持っていないみたいに見えますし

「氾濫」の「濫」、「みだり」の「濫」、

大鯉に乗ってビッグウェーブを超えるような

この絵には合ってますね。

 

 

余談ですが魚籃観音像は

刺青によく採用されるモチーフなのだそうです。

深く調べたり写真をリンクするのはやめておきますが

ベースにあるのはやはり北斎の絵のようです。

昇り龍と通じるところのある

絵の勢いと構図、鱗の感じと

プラス妖艶さもポイントではないでしょうか。

 

 

 

そしてこちらは

2014年に京都の東寺で催された

「漫画家による仏の世界展」のために

江口寿史氏が書き下ろした「私訳魚籃観音之図」です。

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http://webfreestyle.com/shop/eguchigiclee5.html

現代の摺師の方によって作成される100部限定の浮世絵です。

背景は北斎の絵とほぼ同じ構図ですが

今風の美女です。

ここでは敢えて再び

しっかりとバスケットを持たせて頂いています。

 

Tシャツにも。

バシッと決まった絵柄は

刺青ではないですが身にまといたくなりますね。

魚籃観音 2014年05月03日_P5030643

魚籃観音 2014年05月03日_P5030643 posted by (C)poco